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空と太鼓

北海道岩見沢市の「atrier 花*杢」 太鼓の製作・演奏/造形制作/身近な自然と生活について /空と倉庫という猫ブログもやっています。

『ツイン・ソウル』

 

 先日の3月12日の日曜日、3年間担任をして来た生徒を送り出す卒業式を終え、しばらく放心と疲労の回復のために費やす日を送り、ようやく体力と気力が戻り始めた今日。3年間に込めた想いは、知らないうちにとても大きなものとなっていて、「生徒も私も、人生においてそう多くない感動を分かち合った卒業式となったなあ。」としみじみと思ってしまう。

 

 「人と人との出会いが、ある必然によって起こるものだ。」と気づいたのはいつだっただろう。

 出会うべくして、出会う必要のある時に人が出会う。それを、「ソウルメイト」と呼ぶそうだけれど、友人の一人に、そんな存在がある。精神的に、または物理的にぶつかったり、離れたりする事もあったが、必要とする時に、不思議と同じ街に暮す事になったりと、ただならぬ「ソウル」の繋がりを感じる友人である。

 

 「ソウルメイト」というと、近年話題となったアニメーション「君の名は」では、さらに深いつながりの「ツイン・ソウル」がテーマになっていた。この映画もまた、ただならぬメッセージを持った映画だと読み取る人もいて、この世界の転換点にふさわしい内容だとか。個人的には、風景が“諏訪”に似ているなあ。と思っていたら、本当に諏訪の風景をイメージしているらしく、自分にとっても深い意味をもつ映画であった。

 

 話は戻って、そんな友のお父さんが急逝したのが昨年の6月頃だった。突然の訃報に声も出なかったが、さらにお母さんも同じ時期に急病に倒れてしまった。そこから、6ヶ月、闘病の日々を経て、今年の雪解けもまだ始まらぬ頃、お母さんも後を追うように旅立たれたという電話をもらった。言葉にならないままに受話器を持ち呆然としている私に、友人はこれまでの6ヶ月の闘病の経緯を詳しく話してくれた。

 

 その電話をもらった頃の自分はというと、卒業生を送り出すためにジャンベの演奏を披露すべく、作曲を行っている最中だった。卒業生に、教師としてではなく、先に生きる大人としての後ろ姿を見せたい。真剣にモノゴトに打ち込む姿を、演奏を通して伝えたい。そう思っていたのだが、その最中の訃報を聞き、作曲は生徒のためとともに友人家族へ向けてのものへと変化していく。

 これまでジャンベの演奏を聞く事であるパワーを受け取ることを実感してきた。今度は、自分の演奏で、人にパワーを送る側になろう。と思ってやってきたこの1年。その節目の出来事だった。

 曲のテーマは「ツイン・ソウル」。亡くなるまでの友人のお父さんとお母さんの話を聞く中で、二人はソウルメイトを超えた、「ツイン・ソウル」だったのではないか。という風に思えてならない。そう考えると、ともに急逝されたことにも意味があるのかもしれない。そんなことを考えながら。

 

 とはいえ、まだまだオリジナルの演奏を作曲するほどのものは持ち合わせてはおらず、お世話になっているY先生のアドバイスを受けながら、自分なりに試行錯誤。ある程度の完成を持って、友人宅を訪れたのが2月。お母さんの霊前で演奏させて頂いた。これが、私にとって、初めてのステージとなった。

 

 とても、満足のできる演奏でもなく、失敗も多々。それでも、想いを伝える事のできた、静謐な時間だったように思う。

 

 その後は、同曲を生徒に披露するための演奏準備に入る。友人宅での演奏の反省を踏まえ、次は一定の完成型を目指す。「今出来る事を、最大限に。」ただ、それだけ。背伸びしてもしょうがない。等身大の自分を、これから、それぞれの人生を歩き出す彼らに伝える事で、これまでの3年間の自分の仕事は幕を閉じる。

 

 3月10日。卒業式2日前、彼らのための送別のセレモニーで、200名ほどの前でのソロ演奏。教員という仕事でなければ、なかなかこんなステージを用意する事は難しいだろう。ありがたい話だ。友人宅で演奏した際には、3人の前でも緊張したものが、2度目のステージはとても冷静だったことが不思議だった。

 

 演奏は、今の自分のベストだったと思う。映像を見ると、まだまだ。イヤイヤ。オイオイ!と目も当てられない。けれど、この繰り返しで演奏を通して、徐々に、そしてさらに、その空間を包み、貫くほどの演奏を目指していこうと思う。

 

 3月12日、卒業式の最後は、恥ずかしながら、感涙の止まらぬものとなった。そして、彼らが20歳になった成人式のステージに、必ず立つと、大風呂敷を敷いて、最後を締めくくる。

 

 後5年、その風呂敷は、どれほどのものとなるだろうか。また楽しみが一つ、増えた。

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杢 内山 貴雅
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